大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

浦和地方裁判所 昭和49年(わ)1019号 判決 1975年12月08日

本籍

山梨県南巨摩郡南部町本郷三二七番地

住居

埼玉県鴻巣市東一丁目五番七号

会社役員

渡辺浩二

昭和三年七月一四日生

本店所在地

埼玉県鴻巣市宮地三丁目五番一号

商号

中央化学株式会社

代表者

代表取締役 渡辺浩二

右両名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官伊藤実、弁護人井上勝義各出席のうえ審理して、次のとおり判決する。

主文

被告人渡辺浩二を懲役二年に、被告人中央化学株式会社を罰金九、〇〇〇万円にそれぞれ処する。

被告人渡辺浩二に対し、この裁判確定の日から四年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人渡辺浩二は、昭和三六年一月三〇日設立された、埼玉県鴻巣市宮地三丁目五番一号に本店を置き、簡易食品容器類を中心とする合成樹脂製品の製造、加工および販売等を目的とする、資本金二、四〇〇万円の被告人中央化学株式会社(以下「被告人会社」という。)の代表取締役として、その業務全般を統括しているものであるが、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、製品、仕掛品および原材料等の期末棚卸しの一部を除外し、製品売上げの一部を除外し、原材料等の架空仕入れを計上する等の方法により、その所得の一部を秘匿したうえ、

第一  昭和四五年七月一日から昭和四六年六月三〇日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が二億三、七九〇万四、四六二円で、これに対する法人税額が八、六七九万〇、一〇〇円であるにかかわらず、同年八月三一日、同県大宮市土手町三丁目一八四番地大宮税務署において、同税務署長に対し、被告人会社の所得金額は五、六五四万八、〇三一円で、これに対する法人税額は二、〇一四万一、七〇〇円である旨の虚偽内容の法人税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により右事業年度の法人税六、六六四万八、四〇〇円を免れた、

第二  同年七月一日から昭和四七年六月三〇日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が四億九、九五六万六、八八六円で、これに対する法人税額が一億八、二七二万二、〇〇〇円であるにかかわらず、同年八月三〇日、前記大宮税務署において、同税務署長に対し、被告人会社の所得金額は一億五、二〇三万五、六八九円で、これに対する法人税額は五、五〇〇万四、三〇〇円である旨の虚偽内容の法人税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により右事業年度の法人税一億二、七七一万七、七〇〇円を免れた、

第三  同年七月一日から昭和四八年六月三〇日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が一一億九、七二七万一、四六〇円で、これに対する法人税額が四億二、八〇五万七、〇〇〇円であるにかかわらず、同年八月三一日前記大宮税務署において、同税務署長に対し、被告人会社の所得金額は五億二、〇一四万〇、七三八円で、これに対する法人税額は一億七、九二一万一、三〇〇円である旨の虚偽内容の法人税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により右事業年度の法人税二億四、八八四万五、七〇〇円を免れた

ものである。

(証拠の標目)

一、被告人渡辺浩二の当公判廷における供述

一、被告人渡辺浩二の検察官に対する供述調書(収税官吏に対する質問てん末書一〇通添付)

一、次に掲げる者の検察官に対する供述調書

隅部剛朗(収税官吏に対する質問てん末書九通添付)、中塚三郎(同質問てん末書四通添付)、白井圭一(同質問てん末書三通添付)、佐野正志(同質問てん末書一通添付)

一、次に掲げる者の収税官吏に対する質問てん末書

後藤昭治、渡辺末雄、平形徳司、永瀬昭夫、杉下法夫、河原哲治

永田成久、安波俊信、渡辺猛

田中美江、桜井安男、紀太亮三、松田功(二通)、藤田勝矢(二通)、片岡竹夫、栗原国彦(二通)、赤塚辰朗、飯田利夫、西村嘉久治(三通)、島根英春、小川忍、内田寛、茂木道夫、秦慶一、宮崎浩、土谷武之、松岡春松、中村美代子、

次にかかげる者の作成にかかる答申書、上申書、申し述書、供述書および証明書

隅部剛朗(昭和四九年五月九日付)、杉下法夫、河原哲治、後藤昭治、渡辺末雄、(同年四月一三日付)、佐野三、永瀬昭夫、吉羽逸夫、佐野正志(同年五月七日付後綴分)、太田真二、平形徳司、若林昌明、桜井安男(同年四月二二日付)、阿南徹一

被告人渡辺浩二(同年五月二一日付)、佐野正志(同年一月三〇付、同年二月一日付、同年四月三日付、同年五月七日付前綴分、同年五月八日付)、渡辺末雄(同年一月二八日付)、紀太亮三、仲山治彦(同年一月一九日付)、永田成久、三浦辰子、坂口六郎、黒田富治

隅部剛朗(同年五月二二日付)、藤田勝矢、田中美江、佐野正志(同年二月二日付)、桜井安男(同年一月二八日付)、片岡竹夫、秦慶一、岩崎光三郎、西村嘉久治(同年三月一三日付後綴分、同年三月一四日付)、山本健男、木村英二、穂積真介、茂木道夫、飯田利夫、藤井和男 竹中正、宮崎浩、小川忍、内田寛

小野昭三(二通)、籠山和巳、西村嘉久治(同年三月一三日付前綴分)、堀野豊(三通)、森田孝二郎、木村他家男、各務銀明(二通)、小島貞行(二通)、田中一夫(同年一月二二日付)、安藤正彦、志村道晴、宮川正明(五通)、新津安雄、布施継助、新井明、竹内八洲

川口忠弘、渡辺末雄(同年六月一〇日付)、塩津武文、望月康孝、五十嵐正美、仲山治彦(同年五月二〇日付)、被告人渡辺浩二(同年五月一二日付)

一、次に掲げる収税官吏作成の調査書

各期末棚卸額調査書及び数量除外棚卸額調査書、売上売掛金受取手形貸倒損失調査書、架空仕入買掛金支払手形調査書簿外支払手数料未払手数料預け金調査書、簿外雑収入調査書、簿外借入金支払利息調査書、簿外前渡金雑損失調査書

一、次に掲げる収税官吏作成の調査関係書類

山梨中央銀行南部支店調査関係書類、三和銀行大宮支店調査関係書類、三和銀行上野支店調査関係書類、太陽神戸銀行鴻巣支店関係書類(二通)、第一勧業銀行上野支店調査関係書類、富山相互銀行魚津支店調査関係書類、富山銀行黒部支店調査関係書類、富山相互銀行黒部支店調査関係書類(二通)、日本信託銀行川越支店調査関係書類、大阪信用金庫都島支店調査関係書類、第一勧業銀行池袋西口支店調査関係書類、三和銀行池袋支店調査関係書類、埼玉銀行大宮北支店調査関係書類、巣鴨信用金庫大塚支店調査関係書類

一、埼玉県大宮県税事務所長作成の証明書

一、大宮税務署長作成の証明書(法人税決議書写一通、調査による修正申告書写一通、法人税確定申告書写三通および決算報告書写三通添付)

一、収税官吏作成の法人税決議書写(三通)

一、大宮税務署長作成の証明書(青色申告の承認申請の取消決議書写添付)

一、検察事務官作成の電話録取書

一、検察事務官作成の報告書

一、被告人渡辺浩二作成の提出書(会社登記簿謄本、戸籍謄本、株式名簿および会社概要添付)

(法令の適用)

被告人渡辺浩二の判示各所為は、いずれも法人税法一五九条(七四条一項二号)に、被告人中央化学株式会社の判示各所為は、いずれも同法一六四条一項、一五九条(七四条一項二号)にそれぞれ該当するので、被告人渡辺浩二につき、いずれも所定刑中懲役刑を選択し、被告人両名につき、いずれも以上は刑法四五条前段の併合罪であるので、被告人渡辺浩二につき、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で、被告人中央化学株式会社につき、同法四八条二項により各罪所定の罰金額を合算した金額の範囲内で、被告人渡辺浩二を懲役二年に、被告人中央化学株式会社を罰金九、〇〇〇万円にそれぞれ処し、被告人渡辺浩二に対し、情状により同法二五条一項を適用して、この裁判確定の日から四年間その刑の執行を猶予することとする。

よつて主文の通り判決する。

(裁判官 渡辺温)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例